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研究会活動紹介

シンポジウム3「肝障害と幹細胞~肝修復における幹細胞の役割」を終えて

小森 敦正
国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター病態制御研究室

 第15回肝細胞研究会において、シンポジウム3(肝障害と肝細胞~肝修復における幹細胞の役割~)の座長を秋田大学 西川祐司先生と共に務めさせていただきました。
西川先生がシンポジウム3の準備にかけられた熱意は、当ホームページ内研究交流に寄稿された、シンポジウムと同タイトルのレビューの内容からも明らかです。重に対した軽を良しとして私は、炎症、肝創傷治癒過程における幹細胞の役割、展望について、新たな手ごたえのある話が聞きたいという(臨床肝臓病学由来)一オーディエンスの立場で、司会のお手伝いをいたしました。

 シンポの基調は、肝幹細胞の細胞生物学の進歩、および非肝幹細胞の可塑性に基盤をおくtranslational researchの展開であります。前者の発展は、近い将来肝幹細胞の増殖、分化に関与しうる環境因子の解明へとアプローチが進むと思われます。逆に臨床肝臓病学サイドへは、肝幹細胞のpropagationへ至る病態生理の解明、肝幹細胞を介した胆管修復の証明(もしくは炎症巣における胆管前駆細胞の同定)などという宿題が残されたように感じました。

 後者の展開では、先端医療の先陣を走る山口大学グループ寺井崇二先生、国立がんセンターグループ落谷孝広先生のご発表から伺えた、“導入細胞のpropagation/分化形質の誘導を凌駕して表現されうる肝修復現象”に、新たな抗炎症療法の可能性を感じました。非肝幹細胞輸注療法の先端医療としての確立と共に、“Super-physiological” な創傷治癒過程の質・量的な解析が発展することを期待しています。

 最後に、シンポの中で“肝内胆管細胞による肝修復と再生の制御”という搦め手の研究内容を発表させていただく機会をいただきましたことを、再度塩尻会長、西川先生に御礼申し上げます。現象のrelevanceを今後の研究会で発表できるべく頑張ろうと、独り胸に誓いながら長崎への岐路についた次第です。

HP 第15回肝細胞研究会サイト

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