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研究会活動紹介

第30回肝細胞研究会 会長まとめ

会長 井戸 章雄(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 消化器疾患・生活習慣病学)

2023年8月24日(木)、25日(金)の会期で、第30回肝細胞研究会を鹿児島市のライカ南国ホールで開催させて頂きました。今回、「肝細胞と免疫・微小環境」というテーマで、肝臓という臓器、肝臓を構成する細胞、そして細胞内の様々な分子を俯瞰して肝臓学の理解を深めることを目的としました。

COVID-19も5類感染症に移行しましたので、今回現地のみで開催しましたが、全国から128名の先生が参加されました。

招請講演では当科前教授で、鹿児島市立病院院長の坪内博仁先生に、「HGF発見の時代と初代培養肝細胞研究会」のタイトルでご講演頂きました。劇症肝炎患者血漿から肝細胞増殖因子(HGF)を世界で初めて発見し、単離精製した過程や様々な生理活性の発見、臨床応用にむけた取り組みについて講演されました。また、肝細胞研究会の前身である初代培養肝細胞研究会についても紹介されました。

シンポジウムでは「肝再生研究の最前線」と「肝と免疫・微小環境」と題して、それぞれ5名の先生が、肝再生、肝免疫に関する最新の研究結果を発表されました。一般演題では肝の発生、オルガノイド形成、肝細胞機能、肝炎症、肝線維化、肝星細胞、肝細胞増殖因子(HGF)ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、肝細胞癌等をテーマに40題の発表がありました。それぞれの発表に対して質問者が列をなすほど質問が殺到し、活発な討議が繰り広げられました。今回、最優秀演題賞1題、優秀演題賞3題を選ばせて頂きました。

初日のランチョンセミナーでは、「C型肝炎撲滅に向けて〜最新治療と肝臓病の残された課題〜」と題して、埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科教授の持田智先生が講演されました。2日目のランチョンセミナーでは、大阪大学消化器内科学講師の疋田隼人先生が「最終章に入ったC型慢性肝疾患に対する抗ウイルス治療〜ウイルス排除後個別化マネジメント方法の確立に向けて〜」と題して、佐賀大学肝疾患センター教授の高橋宏和先生が、「肝疾患新時代に求められる肝疾患対策・連携のアップデート」と題して講演されました。それぞれの先生が肝炎撲滅に向けた取り組みやウイルス消失後のフォローアップの重要性について示されました。スポンサードセミナーでは、名古屋大学大学院分子細胞免疫学教授の西川博嘉先生が、「肝臓における微小環境の免疫抑制機構に基づいたがん免疫療法」のタイトルで講演されました。肝細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の作用機序について、免疫関連の基礎研究データをもとに、わかりやすく解説されました。

初日の研究会終了後には、同じ会場で情報交換会を開催しました。肝臓を中心にして基礎、臨床の研究者が一同に集まる研究会は少なく、大変有意義なものとなりました。

最後にご参加下さいました先生方、ご協賛下さいました企業の皆様におかれましては、多大なるご支援を頂きました。この場を借りまして、謝意を表します。

【最優秀演題賞】

O9-2  Reovirusによる肝星細胞の脱活性化を介した線維化抑制・機能回復に関する検討
石神 育歩 先生 (大阪大学大学院・薬学研究科)

【優秀演題賞】

O2-2  VGLL3はNASH時の肝臓の線維化を促進する
吉岡 啓佑 先生 (九州大学薬学研究院・疾患制御学分野)
O8-2  生体内イメージング技術によるマウス肝細胞のカルシウムダイナミクス解析
谷田部 一輝先生 (日本大学医学部生理学教室)
O6-2 肝細胞癌における多倍体化の臨床病理学的特徴と評価法の探索
松本 知訓 先生 (大阪大学微生物病研究所 遺伝子生物学分野)

 

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