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研究会活動紹介

優秀ポスター賞「新規可視化法による肝再生過程の胆管系三次元組織構造の解析」

東京大学 分子細胞生物学研究所 発生・再生研究分野
金子 洸太
、伊藤 暢、宮島 篤

このたびは第21回肝細胞研究会において、「新規可視化法による肝再生過程の胆管系三次元組織構造の解析」という演題でポスター発表させていただきました。これに対し、栄誉ある優秀ポスター賞をいただき、誠に光栄に存じます。ありがとうございます。このような機会を与えてくださいました会長の仁科博史先生、ならびに学会関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

我々は、胆管の三次元構造を可視化する手法を開発しました。総胆管から逆行性にインクを注入し、その後、肝臓全体を視覚的に透明化することで、肝内胆管の樹状構造を可視化するというものです。初めて見た微細構造は教科書などから想像していたものより遥かに複雑で美しいと感じたのを覚えています。
一方、重篤な肝障害時にはオーバル細胞とよばれる肝幹/前駆細胞様の細胞が出現し、再生に寄与すると考えられています。オーバル細胞は胆管と共通のマーカーを発現していますが、これらの細胞と胆管との関連は不明で、特に胆管と接続しているのか否かは未だ明確ではありませんでした。そこで、我々は、重篤な障害肝において、胆管に注入したインクがオーバル細胞にも届くのかという実験を行ったところ、ほぼ全てのオーバル細胞にインクが届いており、これまでは切片上で観察して全く管腔がなさそうに見えていた細胞塊にもインクが届いていました。さらに、透明化して三次元的に見ると、胆管の樹状構造から枝が複雑に広がっている様子が観察されました。つまり、切片上で観察されていたオーバル細胞は複雑に広がった胆管の枝の断面であったことが明らかとなりました。我々はさらに、異なる障害モデル肝臓では、障害のパターンに応じて胆管の枝の広がる様子が大きく異なることを見いだしました。これにより肝臓は、様々な障害に対して柔軟に適応して再生しているのではないかと考えています。今後は、障害に応じた胆管の動態の制御メカニズムや、再生への寄与について明らかにしたいと考えています。

本会の先生方には今後ともご指導頂きますよう心からお願い申し上げます。最後に、日頃よりご指導していただいております東京大学 分子細胞生物学研究所 宮島篤先生、伊藤暢先生に深く感謝を申し上げます。

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