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研究会活動紹介

ベストポスター賞 受賞の喜び

株式会社フェニックスバイオ
研究開発部 研究開発課
柳 愛美

 この度は第20回肝細胞研究会において、「Cellular reaction of the humanized chimeric mouse liver after bile-duct ligation」に対しベストポスター賞を頂き、誠にありがとうございました。肝幹細胞の由来については当研究会でも毎年非常に盛んな議論がなされている研究分野であり、本研究がこの分野の研究発展に少しでも寄与できれば大変嬉しく思います。貴重な発表の機会を頂きました会長の坂井田功先生、ならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。また、発表の際には多くの先生方より貴重なご指摘や温かいご助言を頂きました。この場をお借りして、重ねて御礼申し上げます。

 私達は肝障害/免疫不全マウスにヒト肝細胞を移植することにより、ヒト肝細胞キメラマウスを作製しています。この動物はヒト肝細胞の機能を高度に保持しているため、ヒトの薬物動態の予測モデルや、B型、C型肝炎ウィルス感染モデルとして広く利用されています。

 これまでヒト肝細胞キメラマウスの肝臓には、ヒト肝実質細胞のみが生着し増殖していると考えられてきましたが、今回私達はヒト胆管上皮様の細胞(hCK18/CK19-double-positive cell)も存在しているということを示しました。hCK18/CK19-double-positive cellは移植したドナー細胞中にも少数存在しておりましたが(0.34±0.47%)、マウスに移植後2および5週目のマウス肝臓組織切片上では観察されませんでした。しかし、肝実質細胞の増殖が定常状態に達した頃(移植後13週目)になると、ごく少数ではありますがhCK18/CK19-double-positive cellが再び観察されました。更に、移植後27週目では、hCK18/CK19-double-positive cellの一部が管状の構造を形成している様子が観察されました。また移植後13週目で総胆管結紮を施し胆管増生を誘導した場合にも、2週間後にはhCK18/CK19-double-positive cellがより多く観察されました。

 以上の結果から、私達は、①ドナー細胞に含まれていたヒト胆管上皮様の細胞はほとんど生着/増殖せず、ヒト肝実質細胞のみが生着・増殖する、②ヒト肝実質細胞の増殖が定常状態になった後、または胆管増生が誘導されるような状況では、ヒト肝実質細胞は胆管上皮様細胞へと分化転換する、という仮説を立てています。今後はこの仮説を実証するため、本研究会で頂きました貴重なご指摘・ご助言を参考に、更に研究を深めて参りたいと思います。

 最後に、本会の先生方には今後ともご指導頂きますよう心からお願い申し上げます。

HP 第20回肝細胞研究会サイト

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