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研究会活動紹介

第19回 肝細胞研究会 優秀ポスター賞を受賞して

大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野
高山和雄

このたびは第19回肝細胞研究会において、「c/EBPαおよびc/EBPβ遺伝子によるTGFBR2遺伝子発現制御を介した肝幹前駆細胞の運命決定」に対し、優秀ポスター賞を授与いただき誠にありがとうございます。今回で肝細胞研究会の出席は3度目になりますが、今年も非常に活発な議論が繰り広げられており、幅広い知識を得ることができ充実した2日間を過ごすことができました。

ヒトES/iPS細胞を用いた分化誘導研究は、創薬や再生医療への応用だけではなく、発生機構の解明等の基礎研究への応用も期待されています。肝幹前駆細胞は肝細胞と胆管上皮細胞に分化する能力を有する細胞であり、ヒトES/iPS細胞を用いて肝幹前駆細胞運命決定の分子機構を明らかにすることは、ヒトES/iPS細胞から選択的に肝細胞や胆管上皮細胞を分化誘導する技術の開発に繋がると考えられます。肝幹前駆細胞の運命決定にはTGFβの濃度勾配が重要ですが、肝幹前駆細胞の方向付けにおけるTGFβ受容体TGFBR2の役割やTGFβシグナルと肝関連転写因子との関係については十分には解析されておりません。そこで、我々はヒトES/iPS細胞由来肝幹前駆細胞において、TGFBR2遺伝子の発現を制御することによって、TGFBR2遺伝子の肝幹前駆細胞運命決定における役割の解明を試みました。また、肝発生に必須のc/EBP遺伝子によるTGFBR2遺伝子の発現制御について調べました。その結果、ヒト肝幹前駆細胞においてc/EBPαはTGFBR2遺伝子の発現を負に制御することにより肝分化を促進し、c/EBPβはTGFBR2遺伝子の発現を正に制御することにより胆管分化を促進することを明らかにしました。今後は本実験で明らかにした発見を発生過程においても再現されるか検証する予定です。

最後に本研究は大阪大学の水口裕之先生のご指導、医薬基盤研究所の川端健二先生、ならびに大阪大学、医薬基盤研究所のスタッフの方々のご協力により遂行することができました。この場をお借りして、深く感謝申し上げます。

HP 第19回肝細胞研究会サイト

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