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研究会活動紹介

第19回肝細胞研究会 ポスター賞受賞の喜び

日本獣医生命科学大学大学院 獣医生命科学研究科 獣医保健看護学専攻
丸山 基世

 この度、第19回肝細胞研究会において「ラット性的二形性肝CYP発現解析モデルの確立」の題で発表させて頂きました。このような名誉ある賞を受賞でき、大変恐縮ではありますが、光栄に思います。ありがとうございます。

 肝臓の薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)の一部の分子種は性的二形性を示し、このことが薬剤の薬効や副作用の性差に重大な影響を及ぼすことで、臨床上の問題となっています。一方、肝臓の再生研究用に作製されたAlb-DsRed2Tgラット(マウスアルブミンプロモーター/エンハンサーを使用)の肝細胞特異的DsRed2発現は成熟雄ラットにのみ限定される性的二形性を示します。これまでの研究により、DsRed2発現と性的二形性CYP発現が相関性を示すことが発見されました。DsRed2は特異的な励起光を照射することにより、経時的かつ簡便に発現を可視化できるため、DsRed2の蛍光発現を指標として簡便にCYP発現を評価できる可能性を探ることを本実験の目的としました。

 DsRed2発現と相関性を示したCYPの種類は下垂体からの成長ホルモン(GH)分泌の周期性により制御されていることが報告されていましたので、雌雄ラットのGH分泌様式に焦点を当て、脳からのホルモン分泌の周期性を雌雄で逆転させたことによる、肝DsRed2発現ならびにCYP発現への影響を検討しました。すると、脳を雄型にした雌ラットにおいて成熟雄様のDsRed2発現ならびにCYP発現を示し、雌型にした雄ラットでは雌様の発現を示しました。性的二形性DsRed2発現はCYP発現と同様の制御を受けることが示唆され、2つの発現が雌雄で矛盾なく一致したことから、本TgラットはDsRed2の蛍光発現を指標としたCYP発現解析の良いモデルになりうると考えられます。

 また、今回の発表で先生方にご指摘いただいた、アルブミンプロモーターの性差に関しましては、私自身も非常に興味のあるところでして、プロモーター制御下で生じているDsRed2発現の性差の解明を目指したいと考えております。

 最後に私事ではございますが、生まれ育った札幌の地で、また父の母校である札幌医科大学で発表ならびに賞を頂けたことを非常に嬉しく思います。今後とも多くの先生方にご指導ご協力頂きながら精進していきたいと思います。

HP 第19回肝細胞研究会サイト

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