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研究会活動紹介

第19回肝細胞研究会に出席して

早稲田大学 理工学術院
合田亘人

今回、第19回肝細胞研究会に初めて参加させていただきました。肝細胞研究会が、文字通り、肝臓の構成細胞に愛着を持ち研究していらっしゃる先生方の集まりで、私が予想していた以上の質の高い発表内容を聞くことができ、また積極的な議論を交わすことができる場であったことを非常に嬉しく思うとともに、この研究会をこれまで支えて来られました先生方の偉大さを肌で感じました。さらに、基礎医学や生物学を軸足にしている研究者だけでなく、理工学との積極的な融合研究を目指す先生方も多く参加していることから、この研究会が幅広い領域をカバーしつつ、個々の領域を深く掘り下げた先端研究を討論するための質の高い研究会であると実感する一方、この領域において自分の未熟さ(無知)を痛切に感じた研究会でもありました。

さて、今回、このような歴史ある研究会において、私は、肝臓の代謝制御における低酸素応答の生物機能についてシンポジウムで発表をさせていただきました。ご存じのように、肝小葉内の肝実質細胞は局在する部位によって代謝酵素の発現や活性が異なる、所謂メタボリックゾーネーションが存在します。このゾーネーション形成において局所の酸素濃度が重要な決定因子として機能していると考えられておりましたが、今回私どもは低酸素に応答し活性化する転写因子hypoxia inducible factor (HIF)を介した代謝制御機構がその一翼を担っている可能性を報告させていただきました。また、アルコール性脂肪肝や非アルコール性脂肪肝炎では、その病態の形成過程において低酸素環境が形成されHIFが活性化すること、さらにHIFがゾーネーション特異的に脂質代謝を制御することで、これらの病態の進展に対して抑制的に働くことも報告させていただきました。この報告を契機に、研究会の皆様が低酸素バイオロジーの研究に興味を持っていただき、その研究成果として、肝臓における低酸素応答が、単なる細胞の生死を決めるシステムとして機能するだけでなく、低酸素に応答した多彩な機能変化が正常な肝臓機能の発現のみならず、様々な肝病態の形成や進展に深く関わっていることが明らかになり、低酸素を標的とした新たな診断・治療法への開発が進むことを期待しております。

最後になりましたが、今回の参加に当たって、会長の三高俊広先生よりお声がけいただき、またシンポジウムでの発表の機会を与えていただきましたこと、この場をお借りして心より感謝申し上げます。

HP 第19回肝細胞研究会サイト

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