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研究会活動紹介

第17回肝細胞研究会 優秀演題賞を受賞して

高山 和雄
大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野
独立行政法人医薬基盤研究所基盤的研究部幹細胞制御プロジェクト

この度は第17回肝細胞研究会において、「SOX17遺伝子導入によるヒトES・iPS細胞からの内胚葉および胚体外内胚葉への選択的分化誘導」に対し優秀演題賞を授与いただき誠にありがとうございました。今回初めて肝細胞研究会に参加させていただきましたが、非常に活発な議論が繰り広げられており、肝細胞に関連した知識を増やすまたとない良い機会になりました。

ヒト胚性幹(ES)細胞や、近年樹立されたヒト人工多能性幹(iPS)細胞は再生医療などの各分野への応用が期待されています。ヒトES・iPS細胞を医療応用するためには、選択的に目的の細胞へ分化誘導する技術の開発が必要です。ヒトES・iPS細胞から肝細胞への分化誘導技術はこれまでに多くのプロトコールが立案されましたが、その分化効率が低いことが問題となっていました。そこで、我々は肝細胞への分化過程の初期段階である内胚葉への分化誘導効率の改善を検討いたしました。従来の肝細胞分化誘導技術では種々の液性因子を組み合わせておりますが、我々は液性因子の組み合わせだけでなく、分化に関与すると考えられる機能遺伝子の導入を実施致しました。内胚葉形成に促進的に作用することが知られているSOX17遺伝子を未分化なヒトES・iPS細胞に導入した場合、内胚葉だけでなく胚体外内胚葉への分化も促進されました。一方、SOX17遺伝子をヒトES・iPS細胞から分化させた中内胚葉に導入し、適切な液性因子と組み合わせることにより、内胚葉への選択的な分化促進が可能であることが示されました。また、他の液性因子と組み合わせることにより、SOX17遺伝子を導入することによる胚体外内胚葉への分化も促進可能であることも見出しました。今後は、内胚葉以降の肝細胞への分化に関与することが知られている機能遺伝子を導入することによって、更なる肝細胞の成熟化を目指します。

最後に、本研究は大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野教授の水口裕之先生のご指導、独立行政法人医薬基盤研究所幹細胞制御プロジェクトリーダーの川端健二先生のご指導、培養資源研究室研究リーダー古江-楠田美保 先生のご助言、ならびに独立行政法人医薬基盤研究所のスタッフの方々のご協力により進めることができました。深く感謝申し上げます。

HP 第17回肝細胞研究会サイト

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