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研究会活動紹介

肝細胞研究会優秀演題賞

吉田 雄一
大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学

この度、山形で開催された第16回肝細胞研究会において“肝再生におけるGabファミリー蛋白質を介したシグナルの重要性”という演題で口頭発表をさせて頂く機会を得、その上で伝統ある本研究会において思いがけず優秀演題賞を受賞させて頂き大変光栄に感じております。この場をお借りして改めて関係諸先生方に感謝の意を表すとともに簡単に私の研究内容についてご紹介させて頂きます。

私たちの研究室では肝再生過程において誘導される様々なサイトカイン、増殖因子に興味を持ち検討を行ってきました。これらの“肝再生因子”は細胞内の様々な情報伝達分子を介して最終的な生理活性を示します。私はこれら“肝再生因子”の下流で共通に機能しうる情報伝達分子の同定を試みました。

Grb2 associated binder-1 (Gab1) は、IL-6受容体gp130シグナルの下流で同定されたアダプター分子です。その後の研究でGab2という相同分子の存在も分かり、これらGabファミリー蛋白質がHGF受容体やEGF受容体の下流でも機能することが分かってきました。以上より、本蛋白質が“肝再生”に必須な情報伝達分子である可能性が考えられました。そこで、今回これらの遺伝子欠損マウスを用い、実際の肝再生過程における役割について検討しました。この結果、予想通りGabファミリー蛋白質を肝臓で特異的に欠損させた二重欠損マウス(DKOマウス)おいて、70%部分肝切除後の肝再生が著しく障害されていることが分かりました。また驚いたことにDKOマウスでは術後1ヶ月後においても肝再生障害が認められ、本分子を介したシグナルが肝再生過程において極めて重要な働きを担っていることが明らかになりました。

今後は、古代ギリシャ時代から知られている“肝再生”の理解を深めるとともに、今回得られた知見をもとに劇症肝炎をはじめとした難治性肝疾患に対する新規“肝再生”療法の開発を目指していきたいと考えています。

最後になりましたが、今回本研究会を主宰されました山形大学消化器内科学 河田純男教授、日頃研究をご指導して頂いております大阪大学消化器内科学 林紀夫教授、大阪大学免疫発生学 平野俊夫教授をはじめ関係諸先生方に深く感謝致します。微力ながら、今後も肝臓学の発展のために努力していく所存です。今後とも、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します。

HP 第16回肝細胞研究会サイト

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