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研究会活動紹介

優秀演題賞を授与いただきまして

高見 太郎
山口大学医学部附属病院 検査部 助教
山口大学大学院医学系研究科 消化器病態内科学講座

 この度の第16回肝細胞研究会におきまして、我々のポスター演題「High density法による骨髄由来細胞培養と予期的老化骨髄細胞分離法の開発」に対し、大変名誉ある優秀演題賞を授与いただきました。誠にありがとうございます。

 我々はこれまで、非代償性肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与(ABMi)療法の有効性を当施設および多施設臨床研究にて明らかにして参りました。一方、現在のABMi療法は、全身麻酔下に約400mlの骨髄液を採取するため全身麻酔が困難な症例には適応がありません。そこでより多くの肝不全患者に次世代型ABMi療法を受けていただくには、局所麻酔で採取した少量自己骨髄液から肝硬変症改善効果のある細胞を分離し、体外で培養増殖させ、同じ患者に再投与する新たな肝臓修復再生療法が必要と考え基礎研究を行なっております。研究を開始した頃は、特にマウスGFP陽性骨髄細胞のin vitro expansionは困難で、増殖因子や血清添加培地の使用が不可欠でした。しかし今後の臨床応用を考えますと、増殖因子や血清を加えない無血清培地による培養が求められ、また、培養による細胞老化促進などの懸念が指摘されています。今回のHigh density 法は、最初に高密度に細胞を播種すれば無血清培地であっても比較的短期間にin vitro expansionが可能となる培養方法です。実はこれは失敗からの知見であり、ある日、分離したマウス骨髄細胞数が予定実験には足りず、捨てるには忍びなく1ウェルに全細胞を入れて培養したところ、細胞が良好に接着増殖していたのです。そして今回、このHigh density法で培養した細胞から老化細胞を選別分離する方法を組み合わせて、一連の「マウスGFP陽性骨髄由来細胞培養システム」として発表させていただきました。

 今後もマウス基礎研究での知見を一日も早く肝不全で困っている方々に還元できるよう精進して参りますので、本研究会の諸先生方には御指導を賜りますよう御願い申し上げます。この度は、誠にありがとうございます。

HP 第16回肝細胞研究会サイト

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