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研究会概要

シンポジウム(2)肝幹細胞の分化・増殖と再生のメカニズム

杉山 俊博
秋田大学大学院医学系研究科 分子機能学・代謝機能学講座

肝臓に出現する幹細胞には、肝臓由来の肝幹細胞と肝臓以外の臓器由来の幹細胞が存在する。旺盛な再生能を持つ肝臓において幹細胞の存在は肝臓の発生過程において幹細胞として働く肝芽細胞や、生体肝に存在する幹細胞の候補として、卵形細胞、肝上皮細胞、小型肝細胞、造血幹細胞が知られている。では、どのような細胞が肝臓に発生あるいは再生に関わってくるのであろうか。本シンポジウムではこれまでに肝幹細胞の候補としてあげられている細胞とその分化について話題を提供していただいた。
より未分化な多分化能を持つ肝幹細胞がヘリング管近傍の門脈周囲領域に存在すると考えられている。秋田大グループはReg Iが肝臓の再生過程において胆管に存在する幹細胞の増殖に関与しており、幹細胞のマーカーとなるうる可能性を示唆した。東大医科研グループは、肝発生初期の肝芽に存在するCD13・Dlk共陽性細胞は肝細胞マーカーの発現やコロニー形成能の差異などから、より肝細胞系譜に属する形質を有する細胞であることを示唆した。千葉大グループは、ポリコーム遺伝子Ezh2のノックダウンによりDlk陽性細胞は肝幹/前駆細胞から肝細胞へと分化誘導することを明らかにした。岐阜大グループは、ED14日目胎児肝幹/前駆細胞にHNF-4遺伝子を導入したところ肝細胞への分化が促進し、骨髄細胞由来のCD133陽性細胞でもHNF4α遺伝子で同様に肝細胞への分化を促進した。

第1日目のシンポジウムでは、細胞工学の著しい発展とともに、この技術を利用した再生医療が盛んになってきている現状が良く理解できた。肝臓病治療の分野においても、肝臓移植に代わる方法として細胞移植治療や人工肝臓の開発が急務となっているが、このとき肝幹細胞を利用した治療法を開発することは非常に有望と思われる。実際、代謝性肝疾忠のモデルマウスを用いた実験でも、造血幹細胞を移植することの有効性が示されている。しかし、移植した細胞が傷害肝の機能を補うにはかなり時間がかかることなど、解決すべき点はまだ多い。今後は、用いる幹細胞がより早く、 より効果的に機能を発揮できるようにすることが必要と思われるが、 このためには、肝幹細胞の性質や分化過程についてもっと知らなければならない。卵形細胞や肝上皮細胞の起源はどこか、肝芽細胞は出生後も幹細胞として存在しているのか、あるいはこれらの細胞の増殖、分化に関わっている分子は今まで知られている以外にどのようなものがあるかなど、まだまだ検討しなければならない課題は多い。さらなる研究成果が待たれる。

HP 第16回肝細胞研究会サイト

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