HOME > 研究会概要 > 研究会活動紹介 > シンポジウム2「肝幹細胞の分化・増殖と再生のメカニズム」の要約と本研究領域の課題と展望について

研究会概要

シンポジウム2「肝幹細胞の分化・増殖と再生のメカニズム」

汐田 剛史
鳥取大学大学院医学系研究科 遺伝子医療学部門

【要約】

SY2-5 マウス肝幹細胞の胆管細胞分化過程におけるジンクフィンガータンパク質Sall4による制御機構
及川恒一、他、東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター幹細胞治療部門

肝幹細胞は肝細胞と胆管細胞へ分化するが、その分子機序は不明である。演者らは、Sall4は肝幹細胞から胆管細胞への分化を制御する遺伝子であり、その細胞内シグナルとしてPI3K/Akt、MAPKが関与することを報告した。
SY2-6 肝芽細胞から胆管細胞への分化および胆管の形態形成を制御する分子メカニズムの解析
谷永直樹、他、札幌医科大学付属がん研究所分子病理病態学部門

肝芽細胞から胆管細胞への分化の動態は不明である。肝前駆細胞をモノレイヤー形成後重層化すると管腔形成することを見いだし、形態形成が細胞運動に依存することを報告した。
SY2-7 ヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導におけるWnt/β-catenin経路と細胞接着の相互作用とその意義
星川淑子、他、鳥取大学大学院医学系研究科遺伝子医療学部門

ヒト間葉系幹細胞から肝細胞へ分化する際に、細胞内β-cateninの局在が核より細胞質、細胞膜近傍へ変化し、カドヘリンを介する細胞接着と関連して、Wnt/β-cateninシグナルが低下することが重要であると報告した。
SY2-8 免疫電顕を用いた骨髄由来肝幹細胞の肝硬変の修復時の各種細胞の動態
山本直樹、他、山口大学医学部消化器病態学

自己骨髄細胞を投与後の肝臓内の移植骨髄細胞を検討すると、Liv2陽性細胞と、Liv8/MMP9/Maid陽性細胞の2細胞集団に区別されることを報告した。

【課題と展望】

  1. SY2-5とSY2-6は肝芽細胞(ヘパトブラスト)から胆管細胞への分化に関する報告である。肝芽細胞から胆管細胞への分化へは、TGFβシグナル、Notchシグナル、GSK3βが関与すると報告されているが、Sall4は現時点ではいずれもシグナルとも独立して作用する分子である。胆管細胞へ分化する際の細胞運動、細胞増殖の分子機構の検討も重要な研究課題である。今後、これらの分子や細胞分化と胆管特異的転写因子HNF1βやHNF6との関連を含めた検討が必要であろう。
  2. SY2-7とSY2-8は骨髄由来細胞の肝細胞への分化に関する報告である。間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導機序を、Wnt/β-cateninシグナル、β-catenin細胞内プール、細胞接着から解明する研究であり、更なる進展が望まれる。骨髄細胞移植時の肝臓内の骨髄由来細胞の動態は、Liv8がCD44と同一であることや、MMP9が細胞遊走に関与する分子であることより、その意義付けが今後の課題であろう。
HP 第16回肝細胞研究会サイト

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