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研究会活動紹介

第16回肝細胞研究会 優秀ポスター賞を受賞して

稲村 充
大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野
独立行政法人医薬基盤研究所基盤的研究部遺伝子導入制御プロジェクト 

この度は第16回肝細胞研究会において、「ヒトES細胞やiPS細胞からの内胚葉系細胞および肝細胞への分化誘導法の開発」に対し優秀演題賞を授与いただき誠にありがとうございました。私自身、肝細胞研究を始めて間もないため、これを期に精進していきたいと思います。

近年、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)に加え、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立が報告され、薬物のin vitro毒性評価系の構築や移植治療による再生医療への応用に期待が高まりつつあります。ヒトES細胞やiPS細胞をこのような目的に応用していくためには、厳密に定められた条件下で培養し、分化誘導技術を開発することが重要です。しかしながら、これまでどのような培養環境、特に細胞外基質が組織特異的な分化を促進するかに関する情報はほとんどありませんでした。今回、未分化なヒトES細胞やiPS細胞から中内胚葉系細胞や内胚葉系細胞への分化過程においてラミニンが分化促進効果を示すことを明らかにしました。過去の分化誘導研究の多くが、フィーダー細胞やマトリゲルなど動物性タンパク質を豊富に含み、組成が不明な培養条件下で行っているのに対して、我々の方法は全て化学的に組成が明らかな培養条件下で中内胚葉系細胞や内胚葉系細胞へと分化誘導できることから、ヒトES細胞やiPS細胞を用いた創薬や再生医療への実現化に向けて大きな一歩を踏み出すことができたと思います。また、我々の分化誘導系は組成の明らかな条件下で培養しているため、液性因子や細胞外基質等の効果を検討するのに最適な系であると思われます。さらに我々は、このような組成の明らかな培養条件が応用面ばかりではなく、様々な基礎研究の発展に繋がることも期待しています。今後は内胚葉系細胞から肝細胞への分化過程においてどの細胞外基質が適しているかを明らかにしていきたいと考えております。

最後に、大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野教授・独立行政法人医薬基盤研究所遺伝子導入制御プロジェクトリーダーの水口裕之先生のご指導、細胞資源研究室研究リーダー古江-楠田美保 先生のご助言、ならびに独立行政法人医薬基盤研究所のスタッフの方々のご協力により本研究を進めることができました。深く感謝申し上げます。

HP 第16回肝細胞研究会サイト

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