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研究会活動紹介

優秀演題賞を受賞して

廣瀬 恵一
東京大学 分子細胞生物学研究所 機能形成研究分野

 今回、私は第16回肝細胞研究会の一般演題(シグナル伝達)にて「ヘッジホッグシグナルによる胎児肝臓細胞の増殖・分化制御」というタイトルで口頭発表させて頂き、優秀演題賞という大変名誉のある賞をいただきました。発表の機会を与えて頂き、また、優秀演題賞に選出して頂けたことに大変感謝しています。

 今回の研究では、胎児肝臓の発生にヘッジホッグシグナル(以下Hhシグナル)が寄与しているかということを解析いたしました。これまでの報告により、肝芽の出芽が起きる前後の前腸内胚葉においてはHhシグナルのリガンドであるソニックヘッジホッグ(Shh)の発現が確認されていますが、肝芽ではその発現は消失しています。また、ノックインマウスの解析により胎齢11.5日の胎児肝臓ではHhシグナルが活性化している可能性が示唆されていました。そこで私は胎児肝臓の発生においてHhシグナルが活性化しているのか、どのような機能を持っているかを解析しました。解析の結果、胎齢11.5日の胎児肝臓ではHhシグナルが活性化しているものの、その活性化は発生が進むにつれ減少していることが分かりました。また、その活性は胎児肝臓の幹細胞である肝芽細胞において確認され、in vitroの培養系を用いた解析の結果、Hhシグナルは肝芽細胞の細胞増殖を亢進し、肝実質細胞への分化を抑制していることが確認されました。これらの結果から、Hhシグナルの活性化は、胎児肝臓の各発生段階で大きく変化し、細胞増殖と分化を制御していることが示唆されました。今後はin vivoの系を用いて更なる解析を進める予定です。

 最後に、多くのすばらしい発表の中、私の研究に興味を持って耳を傾けて下さった参加者の方々に心より感謝いたします。ありがとうございました。

HP 第16回肝細胞研究会サイト

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