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代表世話人あいさつ

代表世話人 三高 俊広
札幌医科大学医学部附属フロンティア医学研究所組織再生学部門

肝細胞研究会は、故市原明先生が立ち上げた初代培養肝細胞研究会を引き継ぎ、坪内博仁先生、故大工原恭先生、故藤原研司先生、赤池敏宏先生らが中心となって立ち上げた会で、研究対象領域を拡げ、肝臓に関係する基礎から臨床まで網羅する研究会とし、今日に至っています。2020年、新型コロナウイルス感染症流行により多くの学会・研究会が中止になる中で迎えた第27回目の研究会は、例年より半年ほど遅くなりましたが、当番世話人水口裕之先生の尽力によりOn lineで開催されました。研究会の開催を望む多くの研究者の期待に応えて、対面と遜色のない素晴らしい研究会にしてくださった水口先生に心より感謝申し上げます。

肝細胞研究会には、初回より参加させていただき、毎年この研究会に参加することを楽しみに研究をしてきた気がします。アメリカ留学から帰国後、札幌で研究を始めてから30年経ちますので、私の研究は肝細胞研究会と共にあったと思います。

肝細胞研究会は、とてもユニークな研究会です。私もこれまでいろいろな学会・研究会に参加してきましたが、これほど参加して楽しかった、勉強になったと感じ、満足して帰ることができる会はありませんでした。どのような魅力があるか、代表を引き受けるのに当たり改めて考えてみました。

他の学会・研究会にはない点が、3つあると思います。

第1は、研究をするのが好きな先生が参加していることです。医学系や理学系、薬学系、工学系、様々な研究領域の研究者が集まり、それぞれの領域の最先端の研究の発表を聞くことができます。基礎的研究から臨床研究まで、網羅的に勉強できる研究会は、本研究会だけです。

第2は、1つの会場でほぼ全ての演題を聞くことができることです。ポスター発表の時間も口演とは別に確保しているので、全ての発表を見ることができます。その時々のトピックスをテーマにシンポジウムが組まれ、一度はじっくり話を聞きたい先生の特別講演など魅力的なプログラムが用意され、参加者は皆座って聞くことができます。当番世話人の研究会に賭ける意気込みが伝わってきます。

第3は、これが一番重要だと私は思っているのですが、口演の発表時間を長めに確保していることです。それぞれの発表に対して質問者が列をなすことが多く、座長自ら質問する時間がないほどです。個々の質問のレベルは高く、研究の核心を突く質問も多く、楽しみでもあり、若い時分は発表するのが怖い会でもありました。退職され顧問になった先生も手弁当で参加してくださり、質問も積極的にしてくださります。

故市原先生は、80才近くになるまで研究会に参加してくださいました。いつもマイクの近くに座り、若手の研究者の発表に対して会場から質問がない時、やおら立ち上がりマイクを握って「門外漢の的外れの質問かもしれませんが・・・」と前置きをしてから、研究の核心を突くような質問をされていました。一度先生に聞いたことがあります。「先生の専門分野とは別でもよく質問されますが、難しくないですか?」と。先生は、「三高君、今まで一生懸命やってきた研究が口演に選ばれて、今日の発表のために練習してきたのとちがうか? 誰も自分の研究に関心がないと思ったらガッカリするやろ」と。先生の質問は、発表者が質問に備えて準備しているような内容であったような気がします。この研究会のあるべき姿、守るべきものについて背中で示してくださっていたのだろう、と、私は思います。

私はこれまで本研究会には大変お世話になってきました。恩返しではありませんが、本研究会の良き伝統は守りながら、新しいことも取り入れて、若い研究者に「肝臓の研究はこんなに面白いのだ」と感じてもらえるような魅力ある研究会にして行くため努力していきたいと思っています。

会員一人一人が本研究会を支えています。
皆様のお力添えをお願いいたします。

令和3年1月吉日

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